1/17のイベントで無料配布させて頂いた『アイルーキッチンで朝食を★ Episode00-2』です。※特に手を加えたりしていません。ので、意味が分からない方もいらっしゃると思いますが、補足はその内にでも。。。。
ルルル〜ン♪と、フフフ〜ン♪と、鼻歌混じりにスキップまでして、フィンランドは買い物籠を片手に市場へと向かっていた。 途中、見晴らしの良い高台に寄り、村を囲む様に連なる山々を眺める。 「わ〜♪何か今日は、山が一際綺麗に見えるな〜♪」 ポッケ村周辺は今日もいい天気で、真っ青に晴れ渡った空に、真っ白な雪山が、それは見事に映えていた。
「今日もスーさんが無事に帰ってきますように…!」
山に向かって手を合わせ、簡単なお祈りをして…。 主人であるスウェーデンを思い浮かべ、エヘヘと笑みを浮かべる。 凍えるような冷たい風がヒュウッと通りを吹き過ぎるが、それすらも今のフィンランドには爽やかな風に思えたり。
不思議だよね〜…。 スーさんの事考えると、心がホカホカして、寒いのとか気にならなくなっちゃうんだもん。 スーさんがあったかいから、それ思い出すからなのかな?
今夜から、またあの腕の中で温々と眠れるのだと思うと、それだけでポワ〜ンとなって。 早く帰ってきたらいいのにな〜と思いながら…。
「よお、今日はまた随分と幸せそうだな、フィンランド」
ポワポワと歩いていれば、ふいに上から声を掛けられた。 「あ、フランスさん!こんにちは〜!」 「はいよ、こんにちは。買い出しか?」 「ええ、フランスさんもですか?」 フランスは酒場で働くキッチンアイルーだ。 この村のキッチンアイルーの中で一番レベルが高く、年長者でもある彼は、スラリとした長身に、薄く顎髭なんかも生やして…耳と尻尾はあるものの、人間の大人と遜色ない外見を有していた。 「んー、農場で落陽草とハチミツをちょっとね…」 「へえ〜…イギリスさんに、ですか?」 落陽草とハチミツの組み合わせで出来るのは『元気ドリンコ』という飲み物だ。 ハンターズギルド公認のその飲料は、スタミナと疲労状態を回復させる効能がある。 以前、スウェーデンに調合書を見せて貰った事があったから、フィンランドはその飲み物とレシピを知っていた。 それを彼の主人であるイギリスに作ってあげるのかと聞けば、 「ん〜、まあ、それだけでもないけどね」 フランスは軽く肩を竦めてそう言った。 「酒場のお仕事って大変そうですもんね…」 そっかぁなんて頷きながら、スウェーデンにも作ってあげようかなと思う。
アイルーが調合するなんて…考えたこともなかったけど…。 そっか…、別にしてもいいんだよね…。 調合ってお料理に似てるし…僕にも出来るかも知れない…。 それに、何かいいもの出来たら、スーさんが喜ぶかも…。
スウェーデンに感心されたり、褒められたりしたら、もの凄く嬉しいかも…なんて、そんな様を思い浮かべてポワポワ〜ンとなっていれば、 「あ、そうだ。ちょっと時間あるか?」 フランスが思い出したというようにそう言った。 「え?ええ、大丈夫ですよ?」 「そ?んじゃ、寄ってけよ。珍しい果物が入ったからさ。よかったら旦那に出してやって☆」 「いいんですか?」 「ああ、旦那が頑張ってくれたお陰で、新しいルートが通じたんだからな」 このポッケ村は、山間部にある小さな集落だ。 前任者が引退した後、スウェーデンが来るまで少々間が開いてしまった為にモンスターが増え、商用ルートのいくつかが途絶えていたのだが…。
そっか、スーさん頑張ってるもんね♪ 新しい商用ルートが開通したんだ♪
フランスの言葉に、何だか自分が褒められでもしたかの様に誇らしく嬉しくなって、ウキウキしながら。 前を行くフランスを小走りで追い掛けて、酒場まで…。 「わぁ〜…」 まだお子様のフィンランドには、馴染みのないその場所…。 今まで、足を踏み入れたこと等、一度もなかった店内を、物珍しそうに眺める。 開店前なので、当然、客の姿はなかったが、他のキッチンアイルー達が掃除や仕込みをしているから、店内は結構賑やかだった。 「は〜…、やっぱり、お酒が沢山ですね〜〜」 棚に並んだ酒瓶の多さに感心して言えば、 「旦那は酒はやんないのか?」 カウンターの向こうに回ったフランスが、ジュースを出してくれながら、そういや…と聞いてきた。 「え?あんまり沢山じゃないですけど…、呑みますよ?」 「ふぅん?旦那、ここへは一度も顔見せてないからさ、呑まねーのかと思った」 フィンランドは「あー」と曖昧に頷き、ありがたくジュースを頂く。
スーさん、いっつも真っ直ぐ帰ってくるもんね…。 お酒よりご飯の方が好きなのかな? でも、ここでだって食べられるよね…? フランスさんのご飯は美味しいって評判だけど……。 もしかして…、僕のご飯が食べたいのかな…なーんて♪
一昨日の晩、もの凄い失敗をして、クビの心配をしていた昨日は何処へやら…。 フィンランドは『いつも真っ直ぐに帰ってきて自分の料理を食べてくれる主人』を思い浮かべて、フフフと笑った。
今夜のご飯は何にしようかな…? スーさん、何が食べたいかな〜? 今日のクエストは砂漠だって言ってたし…、サッパリとお魚とかがいいかなぁ…。
そのままポワポワと、夕飯のメニューを考えて…。 あ、そうだ!とフィンランドは思い出した。
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