※続いてます。
「ティノってばご機嫌だねぇ〜♪」
起きてからずっと、何をしてもシアワセ笑顔が止められない様子のティノに、こちらもニヨニヨ〜と嬉しそうな顔で、フェリシアーノが近寄ってくる。 「ええ〜、そう?」 「うん、すっごく嬉しそうだよ〜♪あ、もしかして、夕べは王様のお部屋にお泊まりしたの?」 「えっ、うえぇええっ?!?!?!ま、まさかそんなっ!お、おお、お泊まりだなんて!するわけないでしょっ?!?!」 フェリシアーノの言葉に、流石に目を剥き、とんでもない!と慌てて手を振るティノ。
「あれ、そうなの〜?何かもったいない感じだねぇ…でも、イイコトあったんでしょ?」
だが、そう聞けば、見る間にその顔がにやにや〜とにやけて来て…。 「えへへ♪いーっぱいお話し出来たんだ♪」 モイ〜ン★と、花でも星でも舞い散るような、それはそれはシアワセいっぱいな満面の笑みになった。 「ヴェ〜…?お話だけ?」 「そ、そうだよ〜!もう!スーさんと僕は友達なの!それ以上じゃないんだから!それに、お話だけって言うけど!王様と二人きりでお話しするなんて、そうそう無い事なんだからね!」 「ふーん?」
ていうか、スーさんも僕と話したいって思っててくれたとかさ…。 お部屋に入れて貰えたり、ぎゅうって抱きしめられちゃったり、何か…すごく…すごかったな、何か…。
「…幸せそうだねぇ、良かった♪」 えへへ〜とまた極上の笑みを浮かべるティノに、フェリシアーノもにっこりして…。 「うん、フェリ君のお陰だよ!」 「そうなの?でも俺、別に何にもしてないよ?」 「フェリ君が背中を押してくれなかったら、僕、スーさんのところに行くとか出来なかったもの。だから…、ありがとね」 「ふーん?まぁ、俺はティノが幸せそうで嬉しいから、いいや〜♪」 ニコニコと笑い合えば、ひょっこりと…どこからともなく、ギルベルトが顔を出した。
「何だよ何だよお前ら、可愛い〜なぁ〜〜♪けど、そろそろスタートだからよ、あっち集合しろよ」
「あ、はい!」 注意を受け、慌てて背筋を正すティノ。 「あれ〜、ギル兄ちゃんが真面目に仕事してるなんて珍しいねぇ〜!」 そんなティノとは対照的に、いつも通りの調子でそう言ったフェリシアーノに、 「ば、ばっか!俺様はやる時ゃやる男なんだっつーの!」 ギルベルトは唇を尖らせて…、それからチラリと来賓席の方を見やった。 踏破試験には、教職員の他にパール生の内、トリアスの3名も同行する。 フェリシアーノとロヴィーノの『お兄様』であるギルベルトは、普段はどちらかというとふざけた感の言動が多いのだが、これでもトリアスの一員なのだ。 (ちなみに、トリアスのナンバー1はエリザベータ、ナンバー2はトーリス、ナンバー3がギルベルト)
「あ、そっかぁ、ルートが来てるから、張り切ってるんだね〜★」
わかった!なんて言うフェリシアーノに、ギルベルトは少しだけ決まり悪そうな顔をすると、「まぁな」と呟いた。 来賓席にいるドイツ王・ルートヴィッヒは、ギルベルトの弟だったりする。 「…アイツ、心配性だからな。俺様はちゃんとやってるってトコ見せねーと…」 「そっかぁ〜」 「ん〜…、まあ、そんなとこだ!だから、早く並んでおとなしくしてろよな!」 「わかった〜」 コクリと頷くフェリシアーノに、よし!と言うと、ギルベルトはルートヴィッヒに向かって『見たか?俺様、ちゃんとやってるぜ!』とばかり、会心の笑みを向けた。 その様子を、何だか微笑ましく思っていれば、 「ティノ、兄ちゃんのことよろしくね〜」 集合場所へと歩きながら、フェリシアーノがふいにそう言ってくる。 「あ、うん…、でも、僕の方が迷惑かけちゃうかもだけどね…」 えへへ…なんて笑いながら…。
そっか…、何か浮かれちゃってスッカリ忘れてたけど、これから踏破試験なんだよね。 毎年リタイアする人がいっぱい出るって言うけど…大丈夫かな……って、ううん! 弱気になっちゃダメだよね! 気を引き締めて、頑張って、スーさんにいいところを見せなくっちゃ!
「よぉし、頑張るぞ〜!」 呟けば、フェリシアーノもニッコリ笑って、うんと頷いた。
+ + + + +
てことで、踏破試験がやっと始まりました! ベールさんの部屋にお邪魔したティノ、あの後は特に何もなかったようです。 「あんま遅くなっど、試験に差し支えっがら…」とか、ほどほどの時間で帰された模様。
ちなみに、踏破試験について簡単にまとめますと…↓
・イギリス領某島を舞台に、スタートから100kmを踏破する。 (この100kmは直線距離) ・2人一組のペアで、野外での一泊がある。 ・ローブは使用不可。 ・装備の中に食料は入っていないので、自前で確保する。 (森の中には食料となる動植物は豊富。但し、小動物がいるという事は、それを補食する肉食獣もいると言う事) ・夕食は採点される。
…こんなトコかな。。。
|