※続いてます。
さて、そんな二人から数メートル程離れた茂みの中…。 双眼鏡を手に身を潜め、ガサガサゴソゴソと移動しながら…。
「は〜…、ロヴィーノ、めっちゃかわええな〜♪もう一人の子もかわええしな〜♪何やのも〜この幸せな眺め!天国やんな〜〜♪♪」
はにゃーんとぽにょーんと、悪戯書きみたいな花を周囲に撒き散らし、世にもお幸せな顔で、スペイン国王アントーニョは本日何百回目かのセリフをまた呟いた。 すると、
「ん」
その横から重々しい頷きが返る。 そこには、殺気としか思えない程、恐ろしく禍々しく、重〜い空気を纏ったベールヴァルドの姿があって…。 「……なあ、あんた何で付いてくるん?」 普通の感覚を持つ人間なら、怖くて堪らないであろうその空気をモノともせず、アントーニョはただ不思議そうに尋ねた。 途端、ギロリと…空色の瞳が凄みを増してアントーニョを捕らえる。 「…めんげぇ」 「……」 ポツリと言われた言葉を、一瞬考えて…。 「ああ、ロヴィーノな!そーやろそーやろ!」 アントーニョはあっけらかんと笑った。 ふるると無表情のまま振られる顔。 「そっちでねぐて」 「へ…?え?じゃあ、俺?」 「違ぇ」 再び振られる顔。 「じゃあ……あっ!あーーーっ!もう一人のっ!!!」 「ん、ティノだ」 「そうそう!ティノちゃん!へ〜っ、アンタ、そうなん?なんや〜、アンタいっつも怖そうな顔ばっかしとっけど、なんやなんや〜、そうなんや〜?うわー、俺ら、なんや気ぃ合いそうやーん♪」 わははと笑って、バシバシと背中を叩くアントーニョに、ベールヴァルドは怒ることなく頷いた。 「これから仲良うしようや〜♪」 「ん、よろしぐ」 ひょんな事から意気投合する二国の王様達…。 だが、二人がそんな会話で目を離した、そのちょっとの間に…。
ギャオーーンと、何処をどう聞いても穏やかでない獣の咆哮が聞こえて…。
続けてガラガラと崩れる大地の音。
「うわぁーーーっっ!!!」 「おひゃ〜〜〜っっ?!?!?!」
更には、ロヴィーノとティノの悲鳴までが響いて…。 「何や?!?!」 「!!!」 見れば、どう見ても肉食にしか見えない大型獣と、崩れた崖が目に入った。
+ + + + +
てことで、4,5,6とまとめてアプしました。 いつも、更新が間開きすぎで…特にこのシリーズは、続いてるの?書く気あるの?的開き方で、読んで下さってる方には本当に申し訳ないです;;;(爆)
この続き、あといくつかありそうですが…その前に、ロヴィーノ話をアプする予定です。 12月に入るまでが勝負なんで、頑張らないと!(自分的に)
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