花泥棒とティノのお姉様 >


「花泥棒の日ってゆーのは、別名ブリューメンディープって呼ばれて…、先輩達がお部屋係を選ぶ儀式の事なんだ」

いいかい?なんて、まじめくさった顔で説明するエドァルド。
彼を囲むように床に座り、3人はフンフンと頷く。
「まず、パール生が世話係にしたいな〜ってコーラル生の持ち物を盗み、代わりにカードを置いて行く…」
「これだね、いっぱいあるね〜!」
フェリシアーノが拾い上げたカードは、ザッと見ただけでも10枚以上あるから、ティノは少し困ったような顔でエドァルドを見た。
「それで…僕はどうしたらいいの?」
「ん〜っと、OKな場合は、そのパール生の所に行くんだよ。パール生は盗んだ物の代わりに、自分の物をあげるんだって。まあ…それで、契約成立ってわけだね」
「う〜…って事は、やっぱり、誰か選ばなきゃいけないって事…?」
困っちゃうな…と呟けば、その横で顔を顰めていたアルフレッドが、ムムムと呻る。
「部屋係については、聞いた事があるぞ…」
「うん、ガルデローベの伝統的な風習だね。二人ひと組で、お姉様のお世話をするってゆー…。まあ、今はお兄様もいるわけだけど…」
エドァルドの言葉に、ティノもそう言えば…なんて思い当たるフシがあって…。

そう言えば…学校説明の時とかに、チラッと聞いたかも…。
後輩が、先輩のお部屋のお掃除したり、お弁当作ったりして…代わりに勉強見て貰ったりするとか……。
だったら、お姉様がいいかな…。
お姉様か……お姉ちゃんもやってたのかなぁ……。

ぽわわんと…ティノが亡くした姉を思い出したりしていれば、
「あ、俺もそれ、何となく聞いた事あるよー☆お風呂一緒に入ったりするんだよね!」
フェリシアーノがそんな事を言い出した。
「えっ?お、お風呂???」
「背中流してあげるとか聞いたよ?」
うん!と元気よく頷くフェリシアーノに、ティノはぎょぎょっと目を丸くする。
「そっ、そうなの?それじゃ、お姉様はダメじゃない!で、でもでも、これとかこれとか、お姉様だよ?」
貰ったカードには、明らかに女性と思われる名前がいくつかあるから…。
ティノは真っ赤に顔を染め、それらのカードを困惑気味に見つめて…。
「わぁ、ホントだ〜!ティノ、いいな〜!俺のトコにも来ないかな〜vv」
「えええ〜?僕は困るよ〜!」
「あはは、大丈夫だよ、ティノ。別に何をしなきゃいけないって決まりはないんだ。それは、話しあって決めるみたいだよ」
「あ、そうなんだ!良かった〜!ビックリした〜!」
エドァルドの言葉に、ホッと胸をなで下ろすティノだったが…、

「甘い!甘いぞ!キミタチ!」

突然、アルフレッドがそんな声を上げた。