花泥棒とティノのお姉様 >

「え、何?」
「どうしたの?アル君…?」
「俺は思い出したぞ!お世話係の真の怖さを!」

「「「…真の…怖さ…?」」」

今度は、ティノ、エドァルド、フェリシアーノの3人の声が見事に重なる。
「ああ、そうだ。お部屋係を甘く見ちゃダメだぞ!」
チッチッチと人差し指を振り、アルフレッドはヒタッとティノを見つめた。
「え、な、何で……?何かあるの?」
そう言われると、何だかとっても不安になって…ティノはアルフレッドを見上げ、困惑の面持ちで尋ねる。
「いいか、ティノ!お部屋係制度は、マスターに仕える訓練とも言える…。オトメにとって、マスターの命令は絶対だろ?つまり!お兄さま・お姉さまの命令も絶対なんだ!」
「う、うん…?」
ズズイッと詰め寄るアルフレッドの真剣な様子と、その勢いに飲まれ、ティノは怖ず怖ずと頷いた。
「だから、部屋係になる先輩はよーーーっく選ぶ必要があるんだぞ!じゃないと…」
「じゃないと…?」
「ティノ…」
真剣な顔で聞いているティノの顎をスイッと掬い、上向かせる。
そして…。
「キミはホントに可愛いね…」
「は?」
「今夜は俺の所に泊まっていくんだぞ?」
キラリンと何か煌めきが見えたのは、目の錯覚なのか、気の迷いなのか…。
「へ………?」
唖然とするティノに、近付くアルフレッドの顔…。
「…え……?ちょ…っと…?あ…の……?」

何…これ?
何これ?
なにこれぇえええええ??????

頭がようやく状況を理解した時には、アルフレッドの顔はもう本当に目の前で…。
「!!!」
ティノはぎゅうっと目を瞑った。

す…、スーさん…っ!!!

閉じた視界に浮かぶ、ベールヴァルドの顔…。
そして、ちょんっと…軽い感触が唇にあって…。

「ま〜ったく、君って奴は…。こーゆー時って普通、少しは抵抗とかするもんじゃないのかい?」

呆れたようなアルフレッドの声…。
「…へ?」
バッと目を開ければ、唇に触れていたのは、アルフレッドの人差し指だった。
「わ〜〜、俺、アルは本当にしちゃうのかと思ったよ〜〜!」
ドキドキしたね〜、なんて呑気に笑うフェリシアーノの隣で、エドァルドが顔を真っ赤に染め、コクコクと頷いている。
「え…?あ…っ、もーーーーっ!アル君ったら!いきなり何するのさーー!」
「だから、こーゆー事になるかもしれないってのを実戦してあげたんだぞ!君はちょっと無防備すぎるからな☆」
エッヘンなんて胸を張るアルフレッドと、ウググと言葉に詰まるティノ。
「うん、でも…、ホントにそーゆーのあるみたいだから…。気を付けた方がいいよ、ティノ」
「…エド…」
本気で心配してくれているエドァルドの言葉が、今はズゥンと重い。
だって、気を付けろと言われた所で、どう気を付けたらいいのか、ティノには皆目見当も付かないのだ。

「お部屋係ってドキドキだねぇ〜、俺もそんな事になっちゃったらどーしよー!」

どうしようなんて言いながら、その実、楽しみにしてるような笑顔で…何とも呑気にそんな事が言えるフェリシアーノが羨ましい。
いっそ代わって欲しいくらい…と思い、ティノはハッとした。
「ちょっと待って!僕に来てるんだもん、みんなだって貰ってるんじゃないの?」
アルフレッドもフェリシアーノも、まだ自分の部屋には戻っていない筈だ。
だとしたら、部屋にカードが届いている可能性は、決してゼロとは言えないだろう。
「大体、そうだよ!エド!君だって、あのペーパーウェイトは?朝までそこにあったじゃない!」
ビシリと机を指させば、エドァルドは慌てて自分の机の上を確認して…。
「え…?あ…!あーーーっっっ、ホントだ!しかも、こんな所にカードがっ!」
辞書の下から緑色の封筒を発見して、拾い上げた。
途端、ぱあっと顔を輝かせるフェリシアーノとアルフレッド。
「えーっ!俺にも来てるのかな?わーー♪見てくる〜〜♪」
「そうか、そう言えばそうだったな!よし、俺も見てくるぞ♪」

な、何であの二人、あんなに楽しそうなんだろう……。

ウキウキ駆け出して行った別室の二人を、見送り、ティノは感心するやら呆れるやら…。
そうこうする内に、エドァルドはカードを開けたらしい。
「あ、トーリスからだ♪」
なーんだ、なんてホッとした声が聞こえ、ティノはハッとして振り返った。
「え、トーリスさんからだったの?いいなぁ〜!」
エドァルドにカードを送ったのは、同じポーランド国出身の先輩で、ティノも何度か話した事のある人物からだったようだ。
トーリスの穏和な笑顔を思い出し、心の底からエドァルドを羨ましいと思う。

うう、僕みんな知らない人ばっかりだよ〜…。
ってゆーか、この先輩達はいつ何処で僕の事知ったんだろう…。
むしろそこを聞いてみたいよ……。

ううう〜と、カードを眺めてティノがひたすら悩んでいれば……、ふいにドンドンと。
結構乱暴な感じに、ドアがノックされた。



+   +   +   +   +

とゆことで、オトメ設定学園物でございます〜☆

いっぱいキャラ出して、何か無性に楽しい気分ですvv
ヘタリアのキャラってみんな可愛いよね♪
みんなでわいわいやってるのを眺めてるのもいいなぁ、とか。


あ。マイオトメの原作設定では、ガルデローベの入学資格は14歳〜16歳の女の子なので、14歳〜18歳までのお嬢さん方が就学しているわけですが。
ここではちょっと年齢引き上げて、16歳からにしたいと思います。
高校生な感じだね。


まあ、そんなわけで、学園物もいくつか書く予定してますので、よろしければお付き合い頂けると嬉しいのです☆


2009.06.09.