+ ウレシハズカシ☆踏破試験 +
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傾向; 典芬・西ロマ・米英
5.
踏破試験は文字通り、100キロの距離を踏破する試験だが、その距離はあくまでも直線の場合なわけで…。
ローブの使用は許可されていない為、生徒達は山あり谷ありの島の中を、歩いて踏破しなければならない。
ゴールまでのルートは大きく2つに分けられ、中央を選べば山越え、海側を選べばアップダウンの厳しい崖が待っている。
舞台となる島は変われど、過酷なことに変わりはなく、毎年多くの脱落者を出す魔の試験だ。
そんな試験がスタートし、既に数時間……。
ティノとロヴィーノは、海沿いの道をえっちらおっちら歩いていた。
「…ごめんね、僕…足引っ張っちゃってるね…」
ロヴィーノが自分に合わせてゆっくり歩いてくれているのに気付くと、ティノは申し訳なさそうに謝った。
「あ?別に…んなことねーよ。そ、それに、後の事はみんなお前に任せるつもりだからな…!」
照れ隠しなのか、唇を尖らせてボソボソと言うロヴィーノ。
スタートからずっと不機嫌そうな顔をしているロヴィーノだが、特に機嫌が悪いわけではないようだ。
「うん、分かった!僕、頑張るね!」
ティノはにっこり笑って頷くと、よいしょと大きな岩をよじ登った。
段々と厳しさを増す崖道に、息が上がる。
流れる汗を拭いながら、ティノはぼんやりとロヴィーノの背中を見つめた。
フランシスさんに、恋するオトメ同士……って…言われたけど…。
ロヴィーノ君も…あのスペインの王様のこと…好きなのかな…?
あ、もしかして…、好きとか…恋とか……まだ認められてなくて……、それでイライラしてる…とか?
そんな風に思えば、まさにそう!としか思えなくなって…。
僕も…認めるの…結構時間かかったもんな……。
スーさんの事…好きなんだって……。
ベールヴァルドを思えば、それだけで胸がドキドキして…ティノは足元に目を落とす。
昨日はホント、すごくビックリしたけど…、嬉しかったなぁ…。
本当はもっともっといっぱい話したい事あるけど…、贅沢言ったらダメだよね。
スーさん…明日まで居られるのかなぁ……。
うう、頑張っていい成績取りたいな〜。
そしたら、スーさん…喜んでくれたりするかな……?
誉めてくれたり……?
やっぱり俺のオトメだ…な〜んて言われたら、どうしよ〜〜?!?!
「おい、どうしたんだよ?疲れたのか?」
ロヴィーノにそう声を掛けられて、ティノは自分の足が止まっていたことに気付いた。
「え?あっ、ううん、ごめんね!」
慌てて駆け寄れば、ロヴィーノがジイッと見つめている。
「お前、顔赤くねぇ?」
「…だ、大丈夫!」
「具合悪ぃんなら言えよ。俺は別にリタイアしたっていーんだからな」
「だっ、ダメだよっっっ!」
リタイアなんて!と慌てて言えば、その勢いに驚いたのか、ロヴィーノは目を丸くした。
「ば、ばか、別に今すぐするなんて言ってねーだろ!」
そして、言われた言葉に、今度はティノの方が目を丸くして…「あ☆」と呟く。
「あはは…!そ、そう言えば…!」
「お前…、案外そそっかしいのな…」
もっとしっかりしてるかと思った、なんて。
「よく言われます…」
呆れたように言われて肩を落とせば、ロヴィーノはプッと小さく吹き出した。
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