+ アイルーキッチンで朝食を★ Episode00-2 +

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傾向; 典芬



「す、スーさんっ!」

夜…、食事も風呂も終えて、後は寝るばかりとなってから…。スウェーデンの部屋に入るなり、フィンランドは覚悟を決めて呼び掛けた。
「なした?」
「あ、あああのっ、よ、夜のオトモ!僕、よく分からないんですけど…、でも、頑張りますからっっっ!」
ぎゅっと握り締めた手を胸の前で組み、必死の様子でそう言うフィンランド。
「…ん…っど…」
スウェーデンは一瞬驚いたような顔をして…それからぷすりと笑った。
「そっが、だげんちょ、焦んねでえぇど」
「え……?」
言われた言葉に、今度はフィンランドの方が驚いて、トトトッと部屋を横切ると、ベッドの側まで駆け寄り、スウェーデンを見上げる。
「な、何でですか?」
「ん〜…、気持ちは嬉しいげっちょも、おめに怖ぇ思いさせたぐね」
そっと頭を撫でてくれる掌。
フィンランドを見つめる空色の瞳が優しい。
「もうちっと大きぐなっだら、よろしぐなぃ」
ちゅっと額に感じる口付け。
言い聞かせるみたいな仕草と言葉に、何故かきゅんっと胸を射す痛み。

やっぱり…スーさんは僕が大きくなるまで待ってくれる気なんだ……。
僕が怖いの、ちゃんと分かってくれてる…。
そうだよ、そうだよね、僕が死にそうに痛い事なんて、スーさんがするわけないよ。
でも………。

「………」
「フィン?」
俯いて黙ってしまったフィンランドに、スウェーデンが不思議そうな声を掛ける。
「…スーさんは……大丈夫ですか?」
「ん?」
「だって、我慢…するんでしょう?」
「ん、ん〜〜…まあ、だなぃ…」
「やっぱり!」
口ごもりながらも頷いたスウェーデンに、フィンランドは心配そうな顔で叫ぶ。
「我慢はココロとカラダに良くないって聞きました!僕、スーさんに身体に悪い事させられないです!それに、僕だって…スーさんが好きだから、だから、スーさんの為なら…きっと我慢出来ますっ!」
言いながら、何故かうるると潤んでしまう瞳。
「!」
一生懸命なフィンランドの言葉と顔に、スウェーデンはカッと瞳を大きく見開いて…。
「………ん…」
少しの間、思案するように瞳を彷徨わせ、やがて小さく頷いた。
「俺は……さすけね…」
「本当ですか?」
「ん」
「本当の本当に、本当ですか?」
食い下がるフィンランドに、スウェーデンは「んー…」と呻る。
それからフィンランドの瞳を覗き込み、スッとその顔を下げて……ちゅっと軽く…唇に……。
「!」
それは本当に軽い、触れるだけのキスだったが…唇の重なったその一瞬、ドキリと妙に大きく鼓動が跳ねた。
「………っ」
「ん、今は…これで十分だなぃ」
ぷすりと笑う空色の瞳。
フィンランドは呆然とその瞳を見上げて……。
それからカアッと真っ赤に顔を染め、視線を逸らす。

ひゃあああああ〜〜〜っっ?!?!?!?!
な、何だろ…今……、何か、すごい…ドキってなったよ。
ドキって…今もすごいドキドキしてるよ〜????

今まで、額や頬には沢山のキスをされていたけれど、唇へのキスは初めてだった。
だからかもしれない、こんなにも胸が騒ぐのは…。
「フィン?なじょした?」
黙り込んでしまったフィンランドの様子に、スウェーデンが不思議そうに尋ねてくる。
その顔が近付くのに、また鼓動が跳ねて…。
「フィン?」
「えっ、ええと…、あああ、あの、本当に…、これで…じゅうぶん、なんですか?」
「…不満?」
「えっ?」
きょとんとすれば、もう一度…ちゅっと唇が重なった。
「おひゃっ?!?!」
「ん、これで十分だなぃ」
目を丸くするフィンランドにそう言って、ぷすっと小さく笑うスウェーデン。
その表情が、どういうワケだか、いつもとは何かが少し違って見えたから……。
「そ…、そうですか……」
フィンランドは顔を俯かせて、モゴモゴと頷いた。

い……いいの…かな…。
よく、わからないけど……キスだけで…代わりになんて…?
でも、スーさんが…十分だって言うんだから……。
だから…いいんだよね……?
うん、今は……。

昼間、あんなにも怖くて不安で堪らなかったはずなのに、何故かホッとしているだけではない自分が不思議で……。
「スーさん、僕…早く大きくなりますからね!」
抱き上げる為に伸ばされた手に、ぎゅうっとしがみついてそう言えば、スウェーデンはぷすりと笑って、優しく頭を撫でてくれた。


かくして…。
フィンランドがスウェーデンの夜のオトモになって初めての夜は、いつものように優しく穏やかに…そして温々と…更けていったのだった。


+   +   +   +   +

とゆことで。
00-1のもろに続きになります。

ホントは、この後成長してちゃんと夜のオトモを果たす話も書いていたのですが、時間足りなくて削ったら、結局ソレは本編の方に持ち越してしまって、全然違くなってしまいましたorzorz
すれ違って、兄さんの酒場に入り浸るスーさんとか、ちょっと書いてて楽しい部分もあったんだけどな。。。。
いつか…機会があったら、手直しして使いたいなーとか思いますが。。。

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