+ フンドシ一枚あればいい。 +

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傾向; 典芬




「ん、今日の酒場は随分と賑やかで…、そういや、村の者も、他の者も、大勢来てたなぃ…」
「………」
不思議そうに頷くスウェーデンにフィンランドの表情が強ばる。

大陸でも名の知れたハンターであるスウェーデンが、
酒場でストリップまがいのことをしていたら、それは確かに人を呼ぶだろう。
しかも、彼一人ではなく、一緒に呑んでいただろうイギリスにプロイセンも、
同じ事をしたのだろうから、それは大した見物だったに違いない。

スーさんったら…、普段は肌なんか殆ど見せないのに…!

フィンランドは知っている。
スウェーデンが、男女を問わず、とても人気があることを。
モンスターの素材で創られた物々しい装備に身を包み、強くて大きくて寡黙な彼は、
近寄りがたい雰囲気で、そこがまた格好いいと言われている事を…。

きっと、いっぱいいろんな人が見たんだ…!

「なじょした?」
きゅっと唇を噛み締め、俯いてしまったフィンランドの顔を覗き込み、スウェーデンが尋ねる。
「…は、破廉恥です…!」
「そか?何が、日本みてぇだなぃ」
破廉恥と言えば、ぷすりと笑われ、フィンランドはぷううっと頬を膨らませた。
「笑い事じゃないですっ!スーさんは、全然分かってません!」
「フィン?」
不思議そうな彼が、何だかとても憎らしい。

スーさんってば、スーさんってば!
スーさんの身体を見たい人が居るって事、全然分かってないんだから!

「大体、酒場はお酒を飲む所でしょう?服を脱ぐ所じゃない筈です!」
「……ん〜、ほだなぃ…」
「それなのに、そんな格好で…!しかも、そのまま帰ってくるなんて…!」
「ん…、すまね…」
ぽこぽこと怒るフィンランドに、スウェーデンはションボリと肩を落とす。
「何でそんな事したんですか?」
「…んっど…、ノリ…?」
「ノリで服を脱ぐってどーゆー事ですか!スーさんは、もし僕が同じ事したらどうします?」
「んっだ事させねっっ!」
カッと目を見開き、とんでもないと叫ぶスウェーデンに、フィンランドは「ほら」と頷いた。
「自分はよくて僕はダメなんですか?」
「絶対ぇダメだ!おめが、フンドシ一枚でなんて…!」
言いながら、ぽわわんと考えたのだろう。
微妙な間が、二人の間に落ちる。
「…スーさん?」
お尻の下に感じる、スウェーデンの存在感。
「フィン…」
間近にある瞳が、じぃとフィンランドを見つめる。
熱く、熱く…、怖いくらいに熱く……。
「あ、あの…?」
ドキドキと鼓動が騒ぎ、フィンランドは僅かに視線を外した。


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