+ フンドシ一枚あればいい。 +
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傾向; 典芬
やだ、僕…怒ってたのに……。
「穿かね?」
「……へ?」
一瞬、意味が分からなくて、きょとんとしてしまう。
今、スウェーデンが言った一言は、何やらとても思いがけず…、
そして、あり得ないモノだったような…。
「穿いてみねぇが?」
「は?え、ちょ…な、何を?」
頭が理解を拒否している。
スウェーデンが何を言っているのか、何を望んでいるのか…、
分かっているが、分かりたくないのだ。
だが、次の瞬間、彼はどこからともなく、畳まれた何かを取り出した(本当にどこから…)
そしてそれをピラリと、フィンランドの鼻先で広げてみせる。
「もう一枚、土産に貰っだ」
青空と桜吹雪の模様が描かれた派手で可愛らしいソレは、
スウェーデンの穿くシンプルな白布とは随分と趣が違って見えるが、
それでもやっぱり間違いなく、漢布だ。
「な、なな、穿きませんよっ!」
何言ってるんですかぁあ!と叫び、フィンランドは慌ててスウェーデンの上から逃れようとした。
だが、そこはそれ、流石天下のG級ハンター様である。
酔っぱらいだろうが、装備がフンドシいっちょだろうが、アイルーの捕獲くらい、ワケはない。
とゆーことで。
「や、やです〜〜ぅっ!」
脱出失敗のフィンランドは、スウェーデンに押し倒されながら、情けない悲鳴を上げた。
「ん、ちっとだけ、なぃ」
「やだやだやだぁっっ!やめて下さいったらぁ〜」
「平気、何も心配いらね」
「平気とか心配とかじゃなく…あ、や、やぁああああ〜〜っっっ」
ぺろんと_かれるズボンと下着。
隠されていた秘部が外気と視線にさらされば、もう観念するほか無くて…。
フィンランドはぎゅうっと目を瞑った。
「んっど、まず二つに折っで…」
スウェーデンが小さく呟いて、漢布をフィンランドの身体の上に置く。
「ううう…」
「フィン、腰上げてくなんしょ」
「…うう〜…」
嫌なのだが、断ったところで、さして問題なく進みそうなので、
フィンランドは言われるままに少しばかり腰を浮かせた。
途端、スルリと布が股の間を通って…。
「あ…っ」
スウェーデンの手が触れるのに、ビクリと身が跳ねる。
だが、スウェーデンは特に何を言うでもなく、布を腰まで引き上げ、
そのまま前の方へと回して…。
「ひゃ、あ…、ん…っ…」
目を瞑っている上、次に何をされるのかが全く分からない状況だからこそ、
余計に、少しの刺激を強く感じてしまうのか…。
や、やだもう、こんな……。
スウェーデンの動きに反応してしまうのが恥ずかしくて、もどかしくて、
フィンランドは小さな啜り泣きを漏らした。
スウェーデンだから感じてしまうのだ。
こんな風に、ただ少し、手が触れるだけでも…。
だと言うのに、当の本人は漢布の方にばかり夢中な様子で…、
だからこそ、何だかすごく、悔しいような悲しいような、そんな気持ちになる。
「フィン」
クスンと鼻を啜れば、不意に名前を呼ばれて…、
フィンランドはスウェーデンの手が止まっていた事に気がついた。
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