+ ロヴィーノの憂鬱 +
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傾向; 典芬・米英・西ロマ
「はぁ〜〜〜、ロヴィーノ、めっちゃかわええよな〜〜♪なあ、そう思わん?なあ?なあ〜って!」
「…あー、はいはい、可愛い可愛い…っつーか、お前それ何度目?いっくら恋愛にはこだわりのあるお兄さんでも、いい加減耳にタコ出来ちゃう感じなんですけど……」
レストランの一番奥のボックス席に座り、何ともかんともにやけ切った顔で、ロヴィーノを眺める男が一人…。
その男の前で、心底疲れ切った表情を浮かべているのは、やたらと派手なデザインの服を着た、金髪ちょい髭の優男で…、だが、そんな彼の耳には、マイスターオトメの証である特別なGEMがキラリンと輝いている。
彼の名前はフランシス・ボヌフォワ。
ガルデローベの五柱の一人であり、現在、要人警護の真っ最中だったりするわけだが……。
「あのさ、アントーニョ…。お前さぁ…いぃ〜加減、帰ってくんない?国のお偉いさん方だって困ってんだろ?」
その要人に向かい、かなりぶっちゃけた様子で言うフランシス。
「んー?別に平気やろ〜?ねーちゃんかておるし…あっ!こっち向いた!!おーい、ロヴィーノ〜♪」
別のテーブルを片付けながら、チラリとこちらを見たロヴィーノに、アントーニョは何とも嬉しそうな顔でブンブンと手を振った。
「っ!」
途端、ロヴィーノは真っ赤に顔を染め、プイッとそっぽを向いてしまう。
「かんわええ〜、ほら、あない顔真っ赤にして…トマトみたいや思わへん?ほんまかわええわ〜〜vvv」
「………いや、もうホント、マジ帰ってって……毎日毎日ここばっか…もうこんな任務、やだ俺…」
これ以上ない程お気楽おシアワセなアントーニョの前で、さめざめと泣き崩れるフランシス。
「うわぁ〜…フランシス兄ちゃんが泣いてるよ〜!」
「は〜〜、いつもの姿からは想像出来ませんねぇ…」
ガルデローベの先輩であり、更に五柱の一人でもあるフランシス。
生徒としては、格好良い姿を目にすることの方がずっと多いだけに、今の姿は何だか意外で…。
少し離れた席からその様子を目撃したフェリシアーノとティノは、目を丸くして見入ってしまう。
「ん〜、そうか?アイツ結構あんなだぞ」
モグモグとハンバーガーを頬張りながら、事も無げに言うのはアルフレッド。
「そ、そうなんだ?」
「アーサーとはしょっちゅう口喧嘩してるしな」
「ねーねー、あの人誰だろ?フランシス兄ちゃんと一緒にいる人…どっかで見た気もするんだけどさぁ…」
「うん…っていうか、分かってるけど信じられないって言うか……」
「あー、あれはスペイン国王のアントーニョだな。アントーニョ・フェル何とか……。フランシスとは古くからの付き合いだったはずだぞ」
アルフレッドの言葉に、フェリシアーノが目を丸くする。
「す、スペインの王様〜?王様がどうしてこんな所にいるの?」
「そりゃあ……えーと…、きっと、この絶品ハンバーガーが食べたかったからじゃないか?」
「それはないと思うけど」
アルフレッドの言葉をあっさり否定し、ティノはうーんと呻った。
「…ってゆーか、どう見てもロヴィーノ君目当てだよね、あれって…」
「ええーっ?!に、兄ちゃん、スペインの王様に見初められたって事?」
「うん、だって、あの王様、さっきっからずーっと、ロヴィーノかわええ〜って言ってばっかりだよ?」
「確かに……」
「確かに…!で、でもでも…」
「おんや〜ぁ?誰かと思えばウチの生徒じゃん!しかもコーラルのヒヨコちゃん達が、こんな所で何をやってるのかな〜?」
ハッと気付けば、3人のボックス席の横に、仁王立ちのフランシスが居て……。
「やあ、フランシス!」
「わ〜、兄ちゃん!久しぶり〜☆」
「あわわ…!」
アントーニョの護衛(?)という任務に辟易していたフランシスは、これ幸いとばかりに、ご機嫌な笑顔で3人の席に割り込んできた。
「おいおい〜テスト終わったからって打ち上げかよ?ちゃんと許可取ったのか〜?」
「む?僕は許可なんか貰った事ないぞ☆」
「え〜っと、許可って誰に貰えばいいんだっけ〜?」
「す、すすす、すみません〜〜〜っっっ!!!!」
フランシスの言葉に、ひえええっと慌てふためいたのはティノだけ。
アルフレッドとフェリシアーノは、何ともかんとも涼しい顔だ。
「うう、何て可愛い素直な反応!それに比べてお前らと来たら…。ティノ、友達は選んだ方がいいぞ!」
バッシュあたりが聞けば「貴様が言うな」とでも言う所だろう。
だが、この場にはいなかったから、ティノはアワワとまた慌て、フェリシアーノとアルフレッドは不満げに唇を尖らせた。
「え〜!俺だって素直だよぉ〜!ねえ、ティノ?」
「そうだぞ!それに、僕達は友達の身を案じて来たんだ!友情さ!決して、絶品バーガーが食べたいだけじゃないんだぞ☆」
「…お前…ホントに、脳味噌もハンバーガーになってるんじゃないか?って、友達…?」
「うん、兄ちゃんが最近ちょっと荒れてるからさ〜、俺心配で…。それで、アルフレッドとティノが一緒に様子を見に来てくれたんだよ!」
「あ〜〜……」
フェリシアーノの言葉に、フランシスは何とも複雑な思いのこもった声を漏らした。
「ねえねえ、フランシス兄ちゃん、兄ちゃんはホントにスペインの王様に見初められちゃったの?」
「お前ね〜…見てたんだろ?あれ。あの通り☆この数日、そりゃもー熱心に通い詰めだぜ〜?」
「不満そうだな?君、恋愛話は大好物じゃなかったかい?」
「そりゃ恋愛話は大好物だけどね?何の進展もねーしさ〜…飯はマズイし…、さしものお兄さんだって、泣きたくもなるってぇの!」
「えー、別に不味くないよぉ〜?そりゃ、激ウマ!ってワケじゃないけど。ねえ?」
「うん…、美味しいと思いますけど…」
「ああ、このハンバーガーはなかなかだぞ?」
顔を見合わせる3人に、フランシスは深い深い溜息を付くと、ヤレヤレとばかりに頭を振る。
「あのね、パスタとハンバーガーがあれば、それでいいってゆーお前らにゃ、これでいいかも知れないよ?けど、お兄さんの繊細かつ洗練されたお口には合わないの。うう、国に帰りたい…!とまでは言わないから、せめて店を変えたい…!」
「はぁ、要人警護も…大変なんですねぇ…」
「そらもー!お偉いさんってのは我が儘なもんだからねぇ〜…」
フウと溜息ひとつ。
フランシスは、そこでチラリと意味深な視線をティノとアルフレッドに投げる。
「まぁ、スウェーデンの王様はそうでもないだろうけどーな…、お前んトコの坊ちゃんは大変だぜ?」
「ん?まあ、アーサーの我が儘は今に始まった事じゃないからな」
わああ〜!アル君ったら、何か余裕だ…!
フランシスのからかう様な笑みも言葉も物ともせず、サラリと言ってのけるアルフレッドに感心してしまうティノ。
そして、確かに、ベールヴァルドが我が儘を言うなんて考えられない…と思ったり。
スーさんって、昔からシッカリしてたし、優しいし、誰かを困らせるような事言ったりなんて…ないよね…。
そっか…我が儘かぁ……。
我が儘言ったり、甘えたり……とか…、ちょっと見てみたいかも………。
どんな感じだろうか…と、思いを馳せれば、ちょっとポッとしちゃったりなんかして。
「あ〜!何かティノが乙女っぽくなってるよぉ〜!」
「ははーん、さては、僕も我が儘言って欲しいかもvvとか思っちゃってるな〜?ほれほれ、お兄さんに正直な所を話してみなさい♪」
「えぇえええ〜〜っ?!?!そ、そそそ、そんな事、おお思ってなんかぁ〜〜っっ!」
「ノンノ〜ン♪隠したって、お兄さんはお見通しだぞ〜♪」
「おひぇえええ〜〜〜!か、隠してないですよぉ〜〜っ!」
「お見通しだぞ〜♪あはは、ティノ真っ赤!可愛い〜っ♪」
「なあ、フランシス…。アントーニョ様、ロヴィーノについて出てったけど…いいのかい?」
フェリシアーノと一緒にティノをからかって喜んでいるフランシスに、少しの間余所を見ていたアルフレッドは、手にしたスプーンをヒラヒラさせながら尋ねた。
彼の前には、いつの間にやらアイスクリームの皿が何枚も重ねられている。
だが、それに突っ込める余裕は、今のフランシスにはなく…。
「何ぃっっ?!?!ばっ、いいわけねーだろ!あのバカ国王っっ!!!!」
慌てふためいてボックス席から飛び出す。
「わ〜、フランシス兄ちゃん、頑張ってね〜!」
「お前らも早く帰って寝ろよ!踏破試験、ナメてかかると痛い目みんぞ!」
フェリシアーノの気の抜ける様な応援にヒラヒラと手を振り、フランシスはそう告げてから、店を出て行った。
「はっ!そう言えば…っ!」
「あ〜そっかぁ、明日遠足だったねぇ〜!」
「ああ、そういや、まだそれが残ってたんだな…」
フランシスの残した言葉にハッとする3人…。
コーラル生の最初の筆記試験の翌日にある長距離踏破試験……。
遠足なんて呑気な別名とは裏腹に、何とも過酷な内容で…、リタイアする者も多く、それに纏わるエピソードも多く残っている為、新入生達に恐れられている恐怖の実地試験なのだ。
「か、帰ろうか…?」
その恐怖の試験が明日だという事を思い出し、表情を暗くするティノ。
「ん、そうだな。もうロヴィーノも帰っちゃったしな!」
「あ、そうだよね〜!兄ちゃんったらもー!」
かくして…。
3人の『調査』は、成果があったのかなかったのか微妙な感じで、それでも調査対象が帰ってしまった為に、とりあえず終了したのだった☆
+ + + + +
あれ。
親分より兄さんのが出ばってるな…。。。
夏コミ前日にナイト・ミュージアム2を観に行ったんですが、ナポレオンが兄さんに見えてしょうがなかった(笑)
いや、兄さんはもっと格好いいんですが!!!
ノンノン野郎とか言われてて、マジで笑いました♪
次の次からは踏破試験に入るであります☆
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