+ アイルーキッチンで朝食を★ Episode;00−1 +
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傾向; 典芬
スーさんって不思議な人だよな……。
風呂から上がり、パジャマに着替えながら、フィンランドはぼんやりとそう思った。
ハンターは普通、アイルーを手伝ったり気遣ったりしないものだ。
だというのに、スウェーデンは出かける度に何かしらを土産として持ち帰ったり、家事のあれこれも手伝おうとする。
他のアイルー達と話をする度、自分がものすごーく優遇されていることを思い知り、嬉しい反面、何だか不思議で……。
スーさん…元々優しい人だし…アイルーの事とかよく分かってないだけかもだけど…。
っていうか、あんまりハンターっぽくないよね…。
村の人の話じゃ、すごく強いらしいけど……本当なのかな…?
スウェーデンの闘う姿をぽやぽやと想像してみて、フィンランドはプルプルと頭を振った。
普段でさえ、顔の怖いスウェーデンである。
闘う時なんて、もっと怖い顔になるのでは…と思えば、それだけで恐ろしい…。
僕、アイルーで良かったな…。
狩られる側だったら、きっとすっごく怖いし、痛いよね。
シミジミとそんなことを思いながら、フィンランドはバスルームを出た。
雪山草のお陰で身体がぽかぽかしているが、それでも火を落とした部屋の床は冷たい。
足早に食堂を横切り、スウェーデンの部屋へと入れば、彼は読んでいた本から顔を上げた。
「寝る?」
「ご本読み終わってからでいいですよ」
「ん、もう読んだ」
スウェーデンが読んでいたのは、ギルドが発行しているハンターの情報誌だ。
最新刊は今日配達されたばかりの筈だが、もう読み終えたのだろうかと内心首を傾げながら、フィンランドはベッドへとよじ登る。
元々、ハンターの為にと造られたこの家には、アイルー用の部屋も多数用意されており、そこにフィンランドの部屋もベッドもちゃんとあるのだが…、ここへ来た最初の晩に「寒いから」なんて言われて…、それからずっと寝る時はスウェーデンのベッドで一緒に、だ。
スーさん、寒がりさんなのに、ポッケ村は辛いんじゃないのかな…。
北国の山間部にあるポッケ村は、一年を通して寒く、秋口から春半ばまで深い雪に覆われる。
モゾモゾとスウェーデンの腕の中に潜り込みながら、フィンランドはチラリとそんなことを思った。
その内…何処か温かい地方にお引っ越しするのかな…。
その時は僕も連れてってくれるといいんだけど…。
スウェーデンが自分を連れて行ってくれるかどうかは、その時までに雇った他のアイルーによるだろう…なんて思えば、少し複雑な気持ちになる。
レベルが低い上、取り立てて長所を思い付けない自分など、わざわざ他の場所にまで連れて行こうと思うだろうか…なんて。
うう…それまでに、役に立つアイルーになってたいな……。
そしたら、連れてってくれるかもだもんね…。
そんなことを思えば、ふと気になることが出てきて…。
「ねぇ、スーさん?」
フィンランドは、自分を包み込むように抱えているスウェーデンを見上げた。
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