+ アイルーキッチンで朝食を★ Episode;00−1 +
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傾向; 典芬
それからひと月の内に、スウェーデンは2匹のアイルーを連れてきた。
2匹はどちらもオトモアイルーで、戦闘や採取などに役立つ様々なスキルを有し、クエストに同行してハンターをサポートするのが仕事だ。
焦げ茶色の毛並みのデンマークは武器専門で、グレーの毛並みのノルウェーはサポートスキルが多彩なのだとか…。
キッチンアイルーであるフィンランドにはよく分からないが、それでも、スウェーデンと一緒にいろんな場所へ出かけられるのは、何だか少し羨ましく思える。
まあ尤も、いつも泥だらけ傷だらけになって戻ってくる姿を見れば、ちょっと恐いような気もするが…。
「デンマークさん、クエストってどんな感じなんですか?」
今日、クエストに同行しているのはノルウェーなので、一緒に留守番をしているデンマークに、フィンランドは尋ねてみた。
スウェーデンの言いつけ通り、トレーニングに励んでいたデンマークは、持ち上げていたダンベルを降ろすと、フーッと息をつく。
「んー…いろいろだべ。モンスター討伐だったり、雪山草とか、ガウシカの角だとか採って来るんだったり…」
「へえ〜…大変そうですねぇ…」
「それもその時々だっぺな。今日は楽だ〜って思ってっと、ついでにアレも採ってくんべーなんて、スーのヤツあちこち寄り道したりすっからよ…」
こないだはえらい目にあったっけ…なんて、ハチのようなモンスターに散々追いかけ回された話を始めるデンマーク。
そっか〜、やっぱりクエストって大変なんだ…。
でも…モンスターは恐いけど…、雪山草の採取くらいだったら……行ってみたいな……。
そんな思いが顔に出ていたのかも知れない。
「ん?何だおめ、オトモに転職してぇのけ?」
デンマークにそう訊かれ、フィンランドはドキリとして飛び上がった。
「えっ、いや、そそそそんなことはっ!」
「何だ、遠慮しねぇでスーに言ってみりゃえがっぺよ、おめもいっづも留守番ばっかじゃつまんねぇべ?」
「えええっ、で、でもでも、僕にオトモが務まるなんて、とっても思えないし…っ、僕がオトモじゃスーさんにどんな迷惑がかかるか……」
「そうけ?案外行けっと思っけどな…」
アワアワ言うフィンランドに、不思議そうな顔をして…それからデンマークはニヤリと笑う。
「まーでも、おめぇだら、クエストのオトモより、夜のオトモのがスーのヤツぁ喜ぶんでねぇのけ?」
なんてな〜などと言い、ガハハッと豪快に笑って…。
けれど、フィンランドがきょとんとした顔をしているのを見れば、誤魔化すように一つ咳払いをし、再びトレーニングを開始した。
夜のオトモ…???
夜のオトモって何だろう…?
オトモにも種類があるのかな…?
「デンさん、あの…」
夜のオトモってどんな事するんですか?と尋ねかけるが、
「いっちにーさんっし、よっ、ほっ、とー!」
デンマークは先程までよりも熱心にトレーニングをしているから…。
ありゃりゃ…、邪魔したら悪いよね…。
後で誰かに聞いてみよう。
世の中って僕の知らないことばっかりだなぁ、なんて…呑気な事を思いつつ、フィンランドは自分も掃除を再開した。
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